Well-being[ ウェルビーイング ]身体的、心理的、精神的、
社会的に良好な状態であること、幸福

病気ではないという消極的な意味の健康ではなく、幸福感をも含む概念であり、また、個人の幸せのみならず、個人の属するコミュニティー(例えば学校、企業、社会)における幸せをも含む。

研究の目的

近年、欧米では、幸福学として、ポジティブ心理学、マインドフルネス、レジリアンス、慈悲や利他心(コンパッション)等と、脳内物質や脳機能解明等の生理学的領域と融合した研究や、その社会での応用が盛んである。同時に、世界的な格差の拡大などにより社会のひずみが深刻化する中、国連やOECD、ダボス会議などの国際社会において、Well-being(利他心やレジリアンスを含む)はこれからの持続可能な経済や社会を考えていくうえで、人間の尊厳や豊かさをどう捉えるかに関わる、基本概念と認識されている。

翻って、わが国では2015年末にストレスチェック法が企業に施行され、2020年のオリンピック、その後の超高齢化社会への対応の中で、今後、国策として日本が成長していくための産業として、Health & Well-being産業の競争力育成が推進されている。また、欧米で注目されている能力開発プログラム等にみられるWell-beingの手法は、日本に古くから培われている禅や各種の「道(例えば茶道)」にも通じるもので、日本・京都からの発信が、世界的な影響を与える可能性が高い。

このような背景から、Well-being研究では以下のことを課題として取り組んでいく。

1

欧米が先進的にとりくんでいるSIY*をはじめとする社会・ビジネス教育等におけるWell-beingに関する手法を、脳科学、社会学、心理学、経営学、グローバル社会研究等の分野から多角的に検証する。

  • *SIY(Search Inside Yourself / Google社が取り入れる能力開発メソッド)
2

日本に現存するWell-beingに関する手法(茶道・禅等)や、それに基盤を置くような(経営者、企業などの)「在り方(being)」を、脳科学、社会学、心理学、経営学、グローバル社会研究等の分野から多角的に検証する。

3

(1)と(2)の知見をもとに、Well-being関連産業の育成や企業のCSRとの関連も視野に、わが国での応用を試み、また日本社会に広く発信することにより、国民のWell-beingの向上に貢献する。また、特に、(2)の知見も反映させて、京都から国際社会に広く発信することにより、世界の人々のWell-beingの向上に貢献する。

具体的には、まず、リーダーシップやメンタルヘルス教育ツールの開発を中心に研究を行う。研究は、SIYやStanford、UC Berkeley等の関連機関における開発手法を調査し、その元となる脳・心との関係を社会学的・科学的方法によって明らかにし、同時に、日本の伝統文化である茶道や禅等によって生じる心身変容体験を脳機能計測等の科学的な分析で解明し、それが企業や社会へもたらす影響を考察し、Well-beingに関する独自の研究・教育・発信を目指す点を特徴とする。研究成果は、企業や社会一般で使われる教材の開発のみに限らず、メンタルヘルス教育、医療従事者のケア、教育機関での学生の集中力や創造性アップその他の領域への応用研究へ展開し、企業のCSRやWell-being 産業振興、さらに国際社会への提言にもつなげる。

本研究ではWell-being につながる他の研究領域との連携による、学際的な融合研究を目指し「ビジョン2025・創造的研究活動」を推進する。さらには欧米の同領域の研究者を招き、ネットワークを形成するとともに、相互の研究交流を推進することに加え、伝統文化や歴史的文化遺産をもつ京都の地からこれらを発信することによって地元産業や、グローバル教育に貢献する。

本研究活動が、近い将来、日本(や世界)の人々が「幸せを感じる技術」「思いやり(コンパッション)を持つ技術」を「当たり前」のこととして使い、よりよい人生や社会を築くための土台となり、京都の同志社ならではの社会的貢献に繋がることを目指す。